
京映アーツに応募した経緯、選んだ理由は何ですか?
学生の頃はインテリアや建築に関わる仕事がしたいと思っていました。とある映画を見ていた時、画面に映る空間に惹かれました。
作品のエンドロールを見て装飾という部署があることを知り、京映アーツに辿りつきました。その後、インターンに参加し、入社を決めました。

今までで一番やりがいを感じた作品と、その理由を教えて下さい。
Amazonprime連続ドラマ「龍が如く-Beyond the Game-」
この作品では、歌舞伎町(神室町)のオープンセットを担当しました。オープンセットとは、屋外に建てられたセットのことで、電気も水道も建物も全て一から造ります。時代背景を調べ、それに合う道具を準備するだけでなく、デザイナー・大道具・外部の業者さんなどと密に連絡を取り合うことが重要になっていきます。この作品では、1995年と2005年の設定で歌舞伎町を再現しました。監督が出来上がったセットを見て、「懐かしい。歌舞伎町だ。」と言ってくださったことが今でも忘れられません。ゴミ袋の色や標識、自販機、電飾が電球からLEDに変わったりと2つの時代を区別するために道具の飾り方や使い方を考えました。

今までで一番苦労した作品と、その理由を教えて下さい。
連続テレビドラマ「時効警察始めました」
初めてドラマの小道具/持道具を担当した作品です。映画とはまた違うドラマのスケジュールで、準備をする大変さを知りました。また、三木監督の知識の豊富さとリアルを求める姿勢に圧倒され、自分の技術が追いつかず、悔いが残った作品です。

ターニングポイントになった作品と、その理由を教えて下さい。
映画「恋は光」
初めて、装飾の親方を担当した作品です。主人公の家の飾りは、「恋愛に興味がない文学少年が暮らす祖父から受け継いだ古民家」という設定。台本には元々住んでいた祖父の設定は書かれておらず、監督からの細かいリクエストもありませんでした。祖父の面影を残すために、「祖父は小学校の先生で旅好き」という設定を勝手に作りました。そこにプラスして、受け継いだ家に1人で静かに暮らす読書家の主人公の雰囲気を足していきました。台本に書いていないことでも、自分の中でストーリー立てて装飾として表現できる楽しさをこの作品で感じました。

この仕事の面白さとは何ですか?
どんな作品も、準備に追われ、時間に追われ、山場があり、疲弊します。ですが、作品が形となって放送(公開)された時、大変だった日々よりも嬉しさの方が先に込み上げてきて、「次の作品も頑張ろう」と思ってしまうのです。また、各作品で携わるスタッフがガラッと変わります。毎回、初めましてで名刺を渡し、クランクアップ時には別れの寂しさを感じます。作品の題材も仕事の仕方もスタッフも作品ごとに変わってくるので、常に新鮮さを味わえるのが、この仕事の面白いところだと思います。

この仕事の難しさとは何ですか?
作品ごとに題材が変わるので、専門的な内容の作品(例えば、医療関係や料理関係)だと、毎回道具を集めきれるのかと不安に駆られます。全国構わず電話を掛けたり、直接出向いて説明をしに行ったりし、作品に協力してくださる会社や人を探します。自分の知らない世界と繋がっていく難しさと楽しさを日々感じています。

この仕事を続けていく上でのモチベーションは何ですか?
作品のエンドロールに名前が載ることです。家族が喜んでくれたり、エンドロールで名前を見つけて、友人が連絡してきてくれることもあります。

装飾と小道具それぞれの魅力
装飾は、画面の中では背景でしかありませんが、作品の雰囲気やキャラクターの個性を引き出す重要な役割をしています。皆さんが違和感なく映画やドラマを見られていれば、それが私たち装飾の正解だと思っています。
小道具は、作品の中でも意味を持ったものとして、監督や役者と密に意見を交わし完成されていきます。いつも手に持っている物であれば、時間をかけて使い古したダメージをつけるなど、一つ一つを丁寧に作り上げる楽しさがあります。

どんな人と一緒に働きたいですか?
いろんなことに興味を持てる人と一緒に働きたいです。私たちの仕事は毎回調べることから始まります。街の中の看板や、旅行先の風景、暮らしてきた家など全てが資料となり、作品に活かされます。

応募を検討している⽅にメッセージ
気になるのであれば、飛び込んでみてください!
仕事との相性も体力の問題も、とにかくやってみないと分かりません。
「1週間1日も休みないじゃん..」「明日は何時に帰れるか分からない..」「やってることは引越し業者みたい!」と思いながら私は9年この業界で働けています笑
その準備段階として、旅行に行ったり遊んだり、今を思う存分に楽しんでください!